ダイニチコウギョウ
私は生産技術という部門で、工場の自働化の仕事を主にしています。自社工場の生産性を上げることを目標に、産業用の多関節ロボットを用いて複雑な動きをする比較的大きな自働機や、エアだけで製品の姿勢を正したり組み立てるような利便性の高い自働機まで、幅広く製作しています。また、当社の自働機は大きく複雑な経路をとることもあり、一度組み上げてから全体の修正を図るのは非常に困難です。そこで3Dシミュレータを用いて製造ラインの設計を行い、現状の製造ラインより安全で効率の良い配置を目指し、入念にシミュレーションを行うのも私の仕事です。
一人で幅広い仕事ができるのが、当社の生産技術職の魅力だと思っています。生産技術職というのは機械の設計、電気の設計、プログラムの設計など担当が分かれている会社が多いですが、当社では自働機の機械設計から電気設計、配線、組立、プログラムと全て一人で一貫して行うことができます。
もちろん各分野の知識が必要となり、覚えることも多くて大変ですが、専門知識を身につける社内の教育制度が充実しています。また、完成した自働機が製造ラインに組み込まれて動作するところを見ると、大いにやりがいを感じます。何ヶ月もかけた自働機がきちんと動いたときなどの喜びはひとしおです。
生産技術の仕事はもちろん、さらに広い分野の知識を身につけたいと思っています。特に製造ラインの工程設計や工程分析など、製造に関することを中心に学びたいです。
社内にいるとどうしてもここでの知識しか得られません。社外で、あるいは世界で、どういった自働化システムが構築されているかを把握したいです。そしてそれらをどのように自社に展開できるかも考えてより効率化につなげたいです。自働化による効率化で作業者の負担を減らし、作業者のみなさんには人にしかできない付加価値の高い仕事をしていただきたい。そのための仕組みを作りたいです。
相手に合わせて話し方や言葉を変えることですね。社員全員が自働機に詳しいわけではありません。例えば現場のオペーレーターに説明するには、専門用語を使ってもなかなか通じません。上司に対してもそうです。同職には専門用語を使って説明したほうがわかりやすくても、専門が異なればそうはいかないのです。相手の理解度に合わせて、原理原則から噛み砕きながら正確に説明するのはなかなか大変です。
初めから「できない」は言わないことです。深く考えずに無理であるとは言わない。一見無理に見えても、解決策は必ずあるものです。結局のところ、大抵の場合で問題になるのはコストと納期。それをクリアできれば、できないことは無いと思います。必要であれば上司に相談し、判断を待つ。今年ダメでも来年の予算やスケジュールには入るかもしれません。初めから諦めることはせず、まずは考え、調査を行うことを大切にしています。
たえず自分の仕事や周りの仕事に興味をもって、常に「なぜ」という探究心を持てる人と一緒に働きたい。「なぜ」と思ったら、まずは自分で考え、わからなければ積極的に先輩社員や上司にアドバイスを受ける。私ももちろんわかる事であれば説明しますし、わからない事なら自分も勉強することになるので、お互いのメリットになります。開発者としての適性の有無は、探究心の有無だと言って良いかもしれません。
メールチェックと予定の確認
前日までの各自働機のエラー等を確認
エラーの多い自働機のプログラム修正
自働機に使用する部品メーカーと打ち合わせ
2D、3DCADを用いて設計
設計した自働機に使用する部品を選定、見積りを行い、発注する
部品が納品するまでに、プログラムをある程度完成させる
ダイニチ工業というと石油ファンヒーターのイメージが強いと思いますが、ほかに加湿器も開発・製造しています。私も現在は加湿器の開発に携わっており、来年度以降に生産する予定の製品の試作と性能評価・設計などを行なっています。性能評価とは、加湿量・消費電力・風量・騒音・内部の温度などを測定し、そのデータをフィードバックすることでより良い製品に磨き上げていく作業です。
こうした作業は一人で行うのではなく、今の私のプロジェクトは5人のスタッフであたっています。開発スケジュールのなかで、誰がどの評価をするかを決めます。
当社の開発は製品群で部署は分かれていますが、部品設計担当や性能測定担当といった区分では分かれておらず、ひとつの製品の設計から検査まで一貫して担当します。ですから仕事の範囲が広く必要な知識も多くなりますが、その分、ひとつの製品に深く関わることができるのが当社の開発の魅力でもあります。開発に深く関わる分、直面している問題が解決できたときの達成感は大きいです。私は加湿器の前は新製品の開発担当をしていましたが、新製品だとこれまで当社が培ってきたノウハウが通用しないときもあり、物理を基礎から勉強したり、他社の特許を調べたりと問題解決の糸口を探しました。
私が手掛けている加湿器は、この数年で感染症対策として注目され普及が進みました。引き続き感染症への不安を抱えている方も多いと思いますので、少しでも安心に・快適に過ごしていただけるよう、ユーザーに寄り添った製品開発を心がけています。モノづくりを通して、世の中に貢献できることが仕事のやりがいであり目標です。また、今まではファンヒーターが事業の中心でしたが、最近では加湿器も主役級の存在感を発揮していると感じています。会社の二本目の柱として、しっかりと利益を生み出せる製品をこれからも作り続けていきたいと思います。
ある部品を検討していたときに、「ユーザーが一番使いやすいように」と考えながら仕様を検討していたのですが、社内で何人かにモニターしてもらったところ、年齢や性別によって操作性に快適さを感じる部分が異なっていて、どのレベルに着地させるかかなり悩みました。何事においても「全員が満足」というのは永遠の課題ですね。最終的にはターゲットユーザーの満足するフィーリングを重視しました。
あらゆることに「なぜ?」と思うことです。部品の形状を決めるためには、なぜその形状にするのか理由が必要。当社の製品は数百の部品からできていますが、ひとつひとつ部品の形には必ず意味がなければなりません。性能評価でも「なぜこの結果になったのか?」と問うことが、より高品質な製品開発につながっていく。適切な対策で製品のリスクを減らしていくことが、今後の開発にも役立つノウハウの蓄積につながるのだと思います。
世の中にはいろいろな製品が溢れていますが、常にそれらに興味を持ち、構造や部品の作り方などを考えられる人と仕事がしたい。さまざまな物に興味を持てる人は、広い価値観を許容できる人だと思うからです。それは周囲の人を思いやる気持ちや、ユーザーを思いやる気持ちに結びつきます。私たちはプロジェクトで動いているので協調性は必要です。また、ユーザーに配慮する気持ちは製品開発にも活かされるでしょう。
業務連絡やその日の予定を確認します。
3DCADを使って次年度モデルの設計図を書きます。
社員食堂で同期と食べます。休日の出来事などを話して盛り上がります。
試験結果や進捗の報告、開発の方向性の確認をします。
試作品の性能確認試験をします。加湿器だと加湿量測定や、温度測定などをします。
その日試験したデータをまとめ、報告書を作成します。